奇跡



201555日、僕の左膝の前十字靭帯は損傷した。

怪我をした瞬間、何が起こったのか全くわからなかった。

数日後に症状が判明した時には、もう将来自分がサッカーをしている姿がイメージできなかった。





それから11ヶ月後、何とか東京大学に入学することができた。しかし、1年間の不養生は僕の体を大福のように情けない体にしてしまったらしい。同じ高校出身の先輩にかけられた第一声は、

 「太った?」

だった。



それでも、もう一度サッカーがやりたくてア式に入部した。



最初の練習日、けが人として筋トレをした。恥ずかしい話だが、腹筋がなさすぎたため首の筋肉が痛くなった。眠りにくいほどに。

同時に、このままトレーニングに自分の体がついていけるか不安になった。







そんな僕が、もうすぐ復帰する。僕にとって、これは奇跡だ。

確かに、僕が復帰するということは奇跡と言うには大げさすぎるかもしれない。

都会に憧れを抱き、巫女として田舎で暮らす美人な女子高生と体が入れ替わる奇跡と比べたら、なおさらである。

だが、怪我をした時の心境を思い出してみると、やはりこれは僕にとって大切な奇跡だ。自分一人では絶対に不可能だ。手術をしたお医者さん、リハビリをサポートしてくださったトレーナーの方、僕のトレーニングを見守ってくれた先輩方、家族、一緒にトレーニングをした仲間。これらのうちどれか一つでもかけたら、僕はもうサッカーを続けられなかったかもしれない。



復帰に際して、不安が全くないわけではない。再断裂の危険もある。技術も相当落ちてるだろう。

しかし、もう一度小さな奇跡が起こせるかもしれない。そんな気持ちになっている。そのためにはこれからも頑張らなければ。







1年 GK    熊谷賢人







P.S  とはいえ、美人な女子高生と入れ替わるような奇跡があっても、嬉しいのだが。






コメント