裏側


高校時代、正直サッカーの練習は辛かった。火曜日から土曜日は毎日朝練。どんなに寒い日も、どんなに疲れている日も、どんなに雨が降っている日も、7:00からの練習に向かわなければならなかった。長期休みのときは、練習の1時間前くらいに学校に到着し、壁に向かって少しボールを蹴り、練習中は顧問の先生に怒鳴られ、走らされ、練習が終わると少し自主練をし、帰っていた。オフは1週間に1回。2日連続のオフがあるのは年末年始だけだった。

大学に入ってからも、中学・高校時代と同じように、練習の時間になったらボールを片手にグランドに出て、与えられたメニューを必死にやり、練習が終わるとみんなで片付けをしたあと着替えて帰っていた。



今年最上級生となり、部のことが少しずつ見えてきたような気がする。主務という仕事柄、部のOBや他の役職のことを知り、理解するようになってきた。そこであることに改めて気が付いた。



普段当たり前だと思っていることは、実は当たり前ではない。



これは様々なところで頻繁に言われていることである。当たり前だと思っていることに感謝の気持ちを持ちましょう、的な流れが多い。もちろん自分も頭の中では理解しているつもりだった。しかし、いざ現場の裏側を見る機会が増えると、自分が想像していたよりもはるかに多くのことが自分の知らないところで行われていた。



1年生のころの自分は、当たり前のように、ただグランドに来て、練習をして、帰っていた。週末には当たり前のように練習試合が組まれていて、プレーしていた。

実際には、毎日練習メニューを考えてくれるコーチがおり、練習を仕切ってくれるOBコーチがおり、OBが用意してくれたゴールがあり、スタッフが用意してくれた水があり、練習試合を組んでくれていた先輩がおり、ビデオを撮ってくれるテクニカルチームがおり、1回の練習、練習試合の度にたくさんの人がチームのために働いてくれていた。僕の知らないところでも、これよりももっと多くの人が働いてくれているはずだ。

OBの方々が大枚をはたいて現役の活動をサポートしてくれていること、学連のスタッフが身を粉にしてリーグ戦を円滑に運営してくれていること、忙しい中コーチがチームの状況を考えて戦略を練ってくれていること。例を挙げだしたらキリがない。たくさんの人が練習の時間内外にかかわらず、見えないところでチームのことを考え、頑張ってくれているのだ。



ふと高校生のころを思い出した。毎日練習を見てくれていた顧問の先生は、当然自分と同じように、どんなに寒い日も、どんなに疲れている日も、どんなに雨が降っている日も、練習に向かっていたのである。結婚して子供もいるのに、正月の13日から生徒とともに合宿にいっていたのである。自分のことを怒鳴り、走らせていた先生は、実はチームの管理をすべて一人で行っていた。大学で舞台の裏側を少し見ることができ、過去の自分がいかにのんきに過ごしていたかを知ると同時に、サッカーに没頭できていたのは周りのたくさんの人たちのおかげであったとわかった。



見えないところでたくさんの人が自分のために頑張ってくれていた。普段当たり前だと思っていることは実は当たり前ではない。このことを身をもって知れただけでもいろいろな部の仕事に携われてよかった。部の仕事をするのは大変だ、サッカーに集中したい、と思う人が多いかもしれないが、(特に新入生は)ぜひ積極的に部の仕事に携わってほしいと思う。僕自身はそれによって人間として成長できていると感じるし、物の見方が変わったと感じている。



そして、陰で頑張ってくれている人に恩返しをするにはやはり勝つしかない。リーグ戦開幕がすぐそこに迫っている。絶対昇格するぞ。


4年 服部直弘

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